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マチビタ、はじめます。

2014年8月28日 jsato


eyecatch


こんにちは。
「ITを活用して街や地域の魅力アップ」をテーマに活動している株式会社らしく代表の佐藤 純也です。

今回からこのマチビタをウェブメディアとして、体系的に情報発信していきます。

マチビタという名前は、「街や地域の魅力アップに取り組む方々に元気のみなもとを届けられたらいいな」という思いから、「街の担い手のためのビタミンメディア」という意味を込めて命名しました。

この私の記事では、自己紹介を兼ねてマチビタを始める経緯などをお話してみたいと思います。

 

昭和のころは地方の田舎町にも活気があった。

私は岩手県奥州市前沢区(旧前沢町)で生まれ、高校卒業まで住んでいました。
「前沢牛」というブランド牛の産地で、地理的には世界遺産に認定された平泉の北部です。

私の両親はその町で小売酒屋を営んでいました。

お店は町のはずれに立地していましたが、近隣には数軒のお店がありました。左どなりはお魚屋さん、道路を挟んだ向かい側にはお肉屋さんが、お店を営んでいました。

両親のお店は典型的な家族経営で、基本的に両親だけでお店での接客とお得意先への配達をしていました。私が中学にはいってからは、商品を棚や冷蔵庫に補充したり、お客さんへの販売を手伝いました。
どこの田舎もそうだと思いますが、盆と正月は都会にでている人たちが帰省してお酒を飲む機会が増えます。その時期になると、両親のお店もずいぶん忙しく、この時は私だけでなく、近所の学生さんもアルバイトに雇い入れていました。

私には弟と妹がいるのですが、私達は3人とも大学に通わせてもらいました。
このことから考えても、当時の両親の小売酒屋経営は、めちゃくちゃ儲かるということではなくとも、そこそこの経済状態だったのだと思います。

私は高校を卒業し、関東の大学に入学し、その後は東京で会社員になりました。
長男ということもあり、親戚や近所の人は、私がいずれ東京から帰ってきてお店を継ぐものと思っていました。
しかし、両親と私の思いは違っていました。

「はたして田舎の小売酒屋に未来はあるのか?」

結局、私はお店を継がず、両親の代で廃業することとなりました。理由は、近隣へジャスコ(現イオン)が進出したためです。その後、近所のお肉屋さんや魚屋さんも廃業することになりました。

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[小売酒屋を廃業した現在の私の実家の周辺。]

 

東京にはまだまだ元気な商店街が多いけれど

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[活気のある武蔵小山商店街]

私は1994年からずっと東京都品川区武蔵小山に住んでいます。
品川区には元気な商店街がまだまだ多いです。
武蔵小山商店街は都内でも有数の元気な商店街です。また、すぐそばには、メディアでもたびたび紹介される戸越銀座商店街もあります。

近隣に商店街があることが、私たち夫婦が武蔵小山を住む場所として選んだ決め手のひとつです。
商店街が元気なので、食料や日用品をすぐに買うことのできる便利さ、そして人通りが多いことで、安心感があります。
私にとっては、「もしかしたら小売酒屋の店主だったかもしれない可能性」から商店街に興味関心とちょっとした思い入れもありました。

20年間、武蔵小山商店街のそばに住み、商店街の店舗の入れ替わりを見てきました。当初、ちょっとびっくりしたことは、私の岩手の実家のように、廃業する家族経営のお店が多いことです。
現在の我が家の買い物のスタイルからも推測できるのですが、インターネットで買えるものが増えていること、ファッション・家具・雑貨などの好みの出るものは、他の街で買うというような購買スタイルが影響していると思います。

そして、廃業したお店の後にできる新しいお店は、だいたい飲食店かチェーンストアになることが多いようです。
飲食店は、「仕事帰りに夕食を食べる」「家族や友達と楽しく食事をする」などのために、近隣の飲食店を利用するというニーズが普遍的に存在することから、チェーンストアは、経済合理性が高く、都内の高額な賃貸料でも入居できるためです。

 

地域間競争の時代 魅力を作り魅力を発信が重要

すでに日本は人口減少時代に入っています。東京は、地方からの流入人口があるため、人口は増えていますが、市区のレベルで見ると、今後は人口が減ってくる地域も出てくるのではと思います。
私たち夫婦が商店街の存在を理由に武蔵小山を選んだように、人は住む街を選ぶときに、なんらかの基準を持っていると思います。また、居住する人だけではなく、観光などで街を訪れる人、仕事の場所として選ぶ人も、同様です。

街や地域の担い手は、街や地域の魅力を作ることをもっと意識し、その魅力を伝えることが重要になってきます。

現在は、情報発信のひとつのチャンネルとして、インターネットを活用した情報発信は欠かせません。
例えば、民間のショッピングモールでは、ホームページを利用した情報発信を行っています。情報発信による集客の効果を経験的に理解しています。

しかし、商店街などを始めとした、地元に根付き、街の活性化を担っている団体の情報発信は遅れていると言わざるを得ません。
旧来のITを利用した情報発信は、お金がかかるわりにはとても使いづらいものでした。しかし2000年代後半から始まったクラウドコンピューティング、スマートデバイス、ソーシャルメディアなどをうまく組み合わせることで、少ない予算で効果的な情報発信ができる基盤ができ始めています。

 

マチビタを始める理由

以上のような経緯から、2012年より「ITを活用して街や地域の魅力アップ」を事業テーマとして株式会社らしくの活動を開始しました。

いろいろな地域の商店街や商工会議所の方々との仕事を通して学んだ内容をもとに、123MAPS( http://123ma.ps/)という、ホームページでの情報発信を簡単にする製品を開発し、現在はこの製品を主体として事業展開を進めています。

当初、街や地域を運営している組織や団体の関係性や役割を俯瞰的に理解することが大変でした。街の担い手にはどのような組織・団体があるのか、それらはどのような役割を持っているか。このあたりの全体を俯瞰した情報が、ネット上には少ないからです。
私達が学んだことや経験したことを整理して記事にして公開していくことで、これから街や地域に関わる仕事をしてみたい人が、少しでも早く基礎的なことがらを理解できるよう、支援したいと思います。
また、街や地域の活性化や魅力アップに関する先進的な取り組みなども、私たちスタッフが取材して記事にしていきます。